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名曲千夜一夜物語-738~"Immunity (Full Album)"-John Hopkins-2013

Jon Hopkinsは英国の音楽家です。

幼児期からピアノを学び、ラヴェルのピアノ協奏曲コンクールで

優勝するほどだったため、

プロのピアニストになると周囲は思っていたようですが、


Acid, Grange, に傾倒し14歳でPC-Amiga500とSynthsizerを入手し、

16歳からElectronica作品をつくりはじめました。


ジョン・ホプキンスの音楽制作に対する思考と方法についての

インタヴューを抜粋して転載します。



<ジョン・ホプキンス>


JH:昔の人間はとても長い音楽を聴いていたし、

そんなに珍しいことではなかったわけで、

それを取り戻そうと僕はしている。


よくあるアルバムの作り方として、30から40曲ほど書いて

そこからベストの10曲を選んで曲順を決めるという方法があるけど、

僕の場合はいつも聴かれる通りに頭から作るし、

どういう順番なのかが最初から分かっているんだ。


言ってみれば存在しない映画の音楽を作っているような感じだな。

なぜなのかは分からないけど好きなんだよね。


JH:面白いことに、僕の仕事のやり方は、実際にはなにかに

アイデアを求めることはなくて、すべて直感で、

自分のアイデアがどこから来ているのかはあまり考えない。


本来はサウンドを言葉に翻訳する必要がないというのが理想だけど

僕らが生きるこの世界ではそうはいかなくて、

人びとはなぜ自分がそれに時間を費やすべきなのかを

納得する必要がある。


でも興味深いことに、作り終わってから追想する形で自分が

深層心理的もしくは潜在意識下でなにを考えていたのか

分析したときに、


作品の流れが古典的な「英雄の旅」と同じだと気づいたんだ。

ただ、たしかに古代であり神話ではあるんだけど、

それは現代にも通じるどころか完全にいまのものでもある。


我々は皆、さまざまな問題を抱えているわけだけど、

それは人間がそこに住むべく進化してきたような世界に住んでいないからだと思う。


これまで常に独自のペースで変動しながら自己改善していく

自然なシステムの中で暮らしてきて、人間はそのほんの一部に過ぎなかったのに、


なにもかもを科学と建物で塗り替えてしまい、

極限まで人間が増えて動物が減り、


その結果として人類は種としていまいろんな課題に直面しているんだと思う。


だから、それに反抗するために僕らができる小さなステップのひとつは、

深層にある動物的自己と意識に再びつながることだと思う。


僕がやろうとしているのはそういうことで、

一時的に失われたなにかに再接続してほしいという思いがあった。


そういうエンパワメントの作品を作りながら、

それが自分自身にも影響があって、作ったことで強くなったと

感じられたからすごくよかったよ。



是非お時間をとって全体を聴いていただければと思います。

いにしえの交響曲を聴いているような、そんな感覚が

感じていただければ幸いです。



ジョン・ホプキンスはこのアルバム作品のあと、


『Singularity』 (2018)


『Music For Psychedelic Therapy』(2021)


『Ritual』(2024)


の3作も同じスタンスで制作しています。


いわば、シンセサイザーやWaveデータなどの現代の制作素材を活用した

管弦楽曲だと思います。そしてその質感は十二分に感じられます。


本人も言っていますが、これはアンビエントミュージックではありません。



興味がある方は是非聞いてみてください。

 
 
 

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